フラスコの中に漂う

何だろうと覗き込む力を

買ったばかりの向日葵が枯れてしまったから

買ったばかりの向日葵が枯れてしまったから貴方がわたしの心の中にいるのか分からなくなってしまいました。ひらぐり ひらりです。

 

会社の人に、貴方のお写真を思わず調子に乗って見せてしまいました。わたしだけの秘密だったはずなのに。みんな格好良いと言ってくれました。これは好きになっちゃうわ、とも言われました。

 

わたしは貴方の容姿だけに惹かれて貴方を好きになったのでしょうか?と、実はかなり悲しくなってしまいました。わたしは貴方の心の形が好きなつもりでした。貴方の容姿も勿論好きではありますが、それは二の次のつもりでした。しかし、貴方の心の形を微塵も知らない会社の人でさえ、これは好きになっちゃうわ、と思うくらい、貴方の容姿は魅力的です。丸でわたしも貴方の容姿だけで貴方を愛したかのように思われるのが不愉快でした。

 

貴方とわたしの間にあった文脈は、此の世の他の誰も良く知りはしません。それなのに、それなのに。彼らに貴方の心の形の素晴らしさがどれだけのものなのかなど、微塵も分かって欲しくないですし、説明する気も起きません。それはわたしだけのものにしたいのです。しかし、それすら貴方の断片でしかなく、結局わたしは貴方がわたしの心の中にいるのか、分からなくなってしまいました。それが悲しいのです。

 

会社から家に帰ったら、買ったばかりの向日葵がしんなりしており、水を替えようとしたら、首をもたげていた一輪が、ポトリ、と花を落としてしまいました。だからきっと悲しいのは、向日葵が枯れ落ちてしまったからだ、と、納得することにしました。短い命の花でした。